サラリーマンの平均年収を年度別に、その推移をグラフにまとめてみました。過去の推移をみることで賃金動向を大まかに把握することができます。
統計元:平成26年 国税庁 民間給与実態統計調査結果
民間企業で働くサラリーマンや役員、パート従業員の平成26年の平均年収は415万円。若干の上昇を見せた平成25年でしたが、平成26年は昨年とほぼ変わらず415万円を記録しています。
国税庁「平成26年分 民間給与実態統計調査」によると、平成26年(平成26年12月31日現在)の平均年収は415万円で、昨年の408万円に比べ+0.1万円(+0.2%)の増加となりました。
男女別平均では、男性は514万円で前年比+3.1万円(+0.6%)の増加、女性平均は272万円で+0.7万円(+0.2%)の増加を記録しています。
また、1年を通じて勤務した給与所得者に支払われた給与の総額は197兆4,043億円で、前年に比べ+2.7%の増加となっています。
平成20年秋に端を発したリーマンショックで米国経済に対する不安が広がり世界的な金融危機へ。日経平均株価も7,000円台にまで下落し、平成21年決算では最終赤字を計上する企業が続出。日本経済に大きな影響を与えました。
少子高齢化、生産年齢人口の減少などを背景に国内の経済は停滞しています。こうした動きを受け、自動車、電機など日本経済の中核を担う大手企業は海外を活路に。欧米はもちろん中国、インド、ベトナムなどの先進国需要を背景に順調に業績を伸ばし、金融危機後の回復が徐々に見られはじめました。
しかしながら、平成23年3月11日に東日本大震災が発生。死者、行方不明者を合わせて1万人を超える大惨事となり、金融危機以降、回復基調にあった日本経済に再び暗い影を落としました。
一方で、ギリシャをはじめ欧州では財政危機が深刻化。リーマンショックの傷が残る米国の経済も依然として停滞しており、円高が進行。輸出中心の日本経済にも深刻な影響を与えました。
平成24年12月の政権交代以降、国内経済は円安や日経平均株価上昇など回復基調に。アベノミクス効果もあり、大手を中心に業績を回復。平成25年および平成26年は経済は引き続き堅調な推移を持続。日経平均株価も上昇し、為替も円高から円安へと大きく変動しました。
また、雇用動向も回復の兆しを見せています。平成26年の有効求人倍率は1.11%を記録。平成25年の0.97%に比べ、+0.14ポイントの上昇。金融危機前の平成19年以来、7年ぶりの1%越えを記録しました。また、平成26年の完全失業率も平均で3.58%(前年比-0.44%)を記録。求人倍率、完全失業率ともに回復傾向にあり、雇用環境は改善されている言えます。
また、平成26年に入り、大手企業を中心に業績が好調。さらに、円安基調や訪日外国人客の急増などが追い風に。一部、26年春の消費増税の影響があり、好調だった経済の腰折れ懸念も見られましたが、その後の経済も堅調な伸びを見せています。
一方で、平成26年の平均年収は前年とほぼ変わらず横ばいに。輸出企業など大手を中心に企業業績や雇用環境に改善が見られるものの、賃金の上昇には至っておりません。
では、企業業績や雇用環境が改善しているのに、なぜ年収(賃金)が上がらないのでしょうか?
答えは「国内での成長が見通せない」からです。企業は将来の成長性に投資をします。成長が見込める分野には積極的に投資をしますが、成長が見込めない分野には投資をしません。そして、当然のことながら、この投資には人件費(給料)も含まれています。
今現在、企業が積極的に投資をしているのは、海外企業のM&A(買収)や将来大きく成長するであろう分野への投資です。連日、日本の企業が名前も知らない海外の会社を買収したり、次世代テクノロジーへの開発や出資といった報道を聞いたことがあるのではないでしょうか。
ではサラリーマンにとって、今後まったく賃金が上がらないかというとそうでもありません。企業は利益が出て、かつ将来の見通しが描けときに従業員や株主に還元をします。
サラリーマンにとっては厳しい環境が続きますが、ぜひ皆さんも経営者の立場になって物事を考えてみて下さい。今後の経済や企業がどのようになっていくのか、どのような人材が求められるのかを考えることが収益アップの最大のカギかもしれません。
<統計元>
国税庁「民間給与実態統計調査」
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当コンテンツは国税庁「民間給与実態統計調査」、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づき掲載しております。また、情報に関しましては精査をしておりますが、当サイトの情報を元に発生した諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負うものではありません。重要な判断を伴う情報の収集に関しては、必ず統計元をご確認ください。